jorie
青幻舎 刊

織りの先生と運命的な出会いをして、当分は紡毛機もハンドカーダーも持っていなくて、どうしたものかなあ、と思っていたところ、ある日先生の作ったフェルトの帽子にいたく感動し、その作り方を教えてもらうことになった。
染織は仕上がるまでに膨大な時間と労力がかかるけど、フェルトは一日でそれなりのものができてしまう。
それに加えて、その制作過程が全く想像もつかなくて、あまりのおもしろさにとりこになってしまった。
当時フェルトは今ほどあまりポピュラーではなかったけど、そんなおり、フェルトメーキングの第一人者のジョリー・ジョンソンさんのワークショップを例のカナダ人の英語教師が企画し、それに参加することになった。(忘れもしない、ちょうど地下鉄サリン事件の日だったです)
2日間のコースで、1日目は羊の種類とフェルトの説明とそれぞれのサンプルの制作、そして2日目はブローチとバッグを作るという内容だった。
私はジョリーさんの作品に夢中になってしまった。
日本人にはない美しい配色、けっして甘すぎないデザイン・・・。
そして何より羊に対する深い愛情を感じた。
その2日間は私にとって充実したものだった。

その後先生が自身の作品展のためまもなく半年の休みに入ってしまった。
私はこの時とばかり、取り憑かれたように作品を作り続け、とうとう作品展まで開いてしまいました。(友人との共同展でした)

夢中になって数年、ふと我に返るとすっかり織りから離れてしまっていた。
ああ、私は織をしたいんだった、と思い直し、機を買ったのでした。

そんな私のフェルトの基礎を作ってくれたジョリー・ジョンソンさんの初のフェルト本です。
何と、サイン入り。
いつ見てもこの人の色彩感覚とデザインにはあこがれてしまいます。